胃カメラ検査とは、胃や食道の状態を確認するために、カメラ付きの細いチューブを口から入れて行う検査のことです。
検査を受ける前には、食事制限や下剤などの準備が必要です。
しかし検査の後は、いったいどんな食事をすればいいのでしょうか?
そこで今回は、胃カメラ検査の後に食べていいものについて紹介したいと思います。
胃カメラ検査を受ける予定の方、受けた後に困っている方の参考になれば幸いです。
胃カメラ検査後に起こる可能性のある症状
胃カメラ検査後には、以下のような症状が起こる可能性があります。
ただし、症状の有無や強さは個人差があります。
症状がしばらく続く場合には、医師に相談しましょう。
喉の痛みや違和感
吐き気や嘔吐
胸焼けや胃もたれ
出血
これらの症状は、検査後の食事にも影響します。
喉の痛みや違和感
喉へ麻酔スプレーをかけた場合は、麻酔が切れるまでは喉の感覚が鈍くなります。
それ以外にも、胃カメラが喉を通る際に喉の粘膜を刺激するため、喉の痛みや違和感が残ることがあります。
これらの症状は、水分をたくさん飲んだり、うがいをすると少し楽になります。
通常は、数時間から数日で自然に治ります。
吐き気や嘔吐
胃にカメラを入れるときや、麻酔スプレーの味や匂いで、吐き気がでることがあります。
また、検査で空気を送り込むことで胃が膨らむため、その刺激で吐き気や嘔吐が起こるかもしれません。
これらの症状は、水分を十分に摂ったり、消化の良いものを少しずつ食べることで、だんだんおさまってきます。 何もしなくても、通常は数時間程度で回復します。
胸焼けや胃もたれ
胃カメラ検査の後に、胸焼けや胃もたれが起こることがあります。 胃の中を見るために行った処置が、胃に負担をかけてしまうからです。
この症状があるときは、刺激物や脂っこいものを避けることで胃の不快感を和らげましょう。
医師に確認は必要ですが、消化酵素や整腸剤などを服用する方法もあります。
胸焼けや胃もたれは、時間が経てばだんだん治まっていきます。
出血
ポリープやガンなどの異常が見つかった場合、その場で切除したり、組織を採取することがあります。 ほとんどの場合、出血があっても少量程度で自然に止まります。 ただし検査後に、便や吐物が黒くなったり、血混じっていたら出血しているかもしれません。
この場合は、すぐに医師に連絡しましょう。
胃カメラ検査後の食事の基本的なルール
検査から時間が経てば、普段通りの食事をしても大丈夫です。 ただし、しばらくの間は胃に負担をかけない食事がおすすめです。
検査直後から数時間後
検査直後から2時間程度は絶食する必要があります。
これは、喉や胃が麻酔や内視鏡で刺激されているため、食べ物が気管に入ってしまう危険性があるからです。
2時間程度経ったら、少量から徐々に食事を再開しましょう。
胃カメラで胃壁を刺激したり、空腹状態で胃酸が分泌されたりすることで、胃が敏感になっている可能性があるためです。
一度に大量に食べると、胃が圧迫されて吐き気や痛みを引き起こすかもしれません。
消化の良いものを少量ずつ食べることがおすすめです。
これは、食事の量は個人差がありますが、一般的には普段の半分程度が目安です。
満腹感や不快感を感じたら、無理に食べ続けないようにしましょう。
冷たいものや熱いものは胃に負担をかける可能性があるため、常温程度のものを選びましょう。
胃カメラ検査で組織を採取した場合は、出血のリスクがあるため、刺激物やアルコールは控えたほうがよいでしょう。
検査後1日目から3日目
検査後1日目から3日目は、なるべく胃に優しい食事がおすすめです。
刺激物や脂っこいものは避けて、煮物や蒸し物などのやわらかいものを中心に食べましょう。
また、野菜や果物を食べる場合は、皮や種を取り除いたほうが胃への負担が減らせます。
水分補給も忘れずに行いましょう。
お茶やスポーツドリンクなどがおすすめです。
検査後4日目以降
検査後4日目以降は、徐々に普段通りの食事に戻していきます。
ただし、異常が見つかった場合や組織を採取した場合は、刺激物やアルコールは控える必要があります。
この場合は、医師の指示に従ってください。
胃カメラ検査後に食べてよいものと食べてはいけないもの
胃カメラ検査後は、胃が刺激されやすくなっているため、消化に良くて胃に優しいものがおすすめです。
食べてよいもの
水分や栄養素が豊富で、温かく柔らかいものがおすすめです。
おかゆやうどんなどのやわらかくて水分の多いもの
豆腐やヨーグルトなどの低脂肪でタンパク質の豊富なもの
バナナやリンゴなどの酸味の少ない果物
野菜スープや味噌汁などの温かくて塩分の適度なもの
ゼリーやプリンなどの滑らかで水分や栄養素の豊富なもの
食べない方がいいもの
消化に悪くて、胃酸の分泌を促進するものや、胃に負担をかけるものはNGです。
コーヒーや紅茶などのカフェインやタンニンが含まれるもの
アルコールや炭酸飲料などの発泡性や刺激性が高いもの
唐辛子やニンニクなどの香辛料や辛味が強いもの
揚げ物やバターなどの油分や脂質が多いもの
辛いものや酸っぱいもの、香辛料や調味料などは、胃の粘膜を刺激して炎症や出血を引き起こす可能性があります。
脂質の多いものは、胃の動きを遅くしたり、胃酸分泌を増やすことで、胃もたれや胸焼けを引き起こす可能性があります。
飲み物についても同様に
飲み物についても、消化しやすくて胃に負担をかけないものを選びましょう。
例えば、白湯やハーブティー、スポーツドリンクや野菜ジュースなどがおすすめです。
熱いもの、冷たいものや炭酸飲料は胃の粘膜を刺激したり、胃内の圧力を上げる可能性があります。
消化に良いものや胃に優しいものの例
胃カメラ検査後に食べていいものを具体的に紹介します。
以下は、一例ですので、自分の好みや体調に合わせて調整してください。
朝食 おかゆに小さじ1/4杯程度の梅干し ヨーグルトとバナナを1/2本程度 温かい白湯
昼食 うどんに豆腐とわかめを入れる リンゴをすりおろしたものを少量 温かいほうじ茶
夕食 鶏肉と野菜のスープ ご飯は普段の半分程度 プルーンを数個 温かいハーブティー
生検や色素散布などをした場合の食事の注意点
胃カメラ検査では、胃壁から組織を採取する生検や、胃粘膜に色素を散布する色素散布などの処置が行われることがあります。
これらの処置をした場合は、通常より食事に気をつけましょう。
生検をした場合
生検をした場合は、胃壁に小さな傷ができます。 そのため、出血や感染などのリスクが高まります。
生検後は、なるべく刺激物や脂っこいもの、アルコールを控えましょう。
また、生検後には、血便や吐血などの出血症状に注意しましょう。
出血症状があった場合は、すぐに医師に相談してください。
色素散布をした場合
色素を使用すると、検査後2〜3時間ほど軽い胸焼けや不快感が残ることがありが、時間とともにおさまっていきます。
これは、色素が胃の粘膜に残っているために起こる症状です。
色素は自然に排出されますが、水分を多く摂ることで排出を促せます。
胃粘膜が刺激されやすくなっているため、刺激物や脂っこいものなどを控えることがおすすめです。
胃酸分泌を抑える薬や消化を助ける薬が処方された場合は、医師の指示に従って服用しましょう。
胃カメラ検査後の生活アドバイス
胃カメラ検査後に気をつけることは、食事だけではありません。 運動や睡眠、喫煙にも注意が必要です。
運動 胃カメラ検査で胃に傷がついている可能性があるので、激しい運動は避けましょう。 また、腹筋運動や前屈などは胃に負担をかけるので、やめておいたほうが良いでしょう。
睡眠 睡眠は消化器系の働きを整える効果があります。
しっかりとることで、胃や腸の動きや分泌を正常に戻せます。
胃カメラ検査で胃に傷がついている可能性があるので、睡眠をしっかりとることで、傷の回復や感染防止にも役立ちます。
喫煙 喫煙は胃の粘膜を傷つけて炎症や出血を起こすことがあります。
特に、胃カメラ検査で異常が見つかったり、組織を採取した場合は、喫煙は控えましょう。
胃カメラの後の食事についてまとめ
胃カメラ検査は、胃の状態を詳しく調べることができる有用な検査ですが、胃に負担をかけるかもしれません。
そのため、胃カメラ検査後は、食事に気をつけることが大切です。
一般的に制限はありませんが、刺激が少なく消化のよいものがおすすめです。
胃腸に不安のある方は胃カメラの検査後は、しばらくは控えめに食事をしましょう。
胃に優しい食事をすることで、胃の回復を早められます。
食事や適度な運動、ストレスの解消などを心がけて、胃の健康を保ちましょう。
【参考サイト】
上部消化管内視鏡検査(食道・胃・十二指腸内視鏡)と治療|日本消化器内視鏡学会
「胃カメラ」の検査方法は口からと鼻からで違う?費用や当日の流れなど医師が解説! | メディカルドック
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