
大腸カメラ検査は、大腸がんや炎症性腸疾患などの診断に欠かせない検査です。
検査前には食事制限や下剤を服用する必要があります。
そのため、検査後にはお腹が空いてしまいます。
直ぐに何か食べたいところですが、検査後の食事は注意が必要です。
では、大腸カメラ検査の後に食べていいものは何でしょうか?
今回は、大腸カメラ検査の後に食べていいものと食べてはいけないものを紹介します。
大腸カメラ検査とは
大腸カメラ検査とは、大腸の内部をカメラで観察する検査です。 大腸はポリープやがんなどの病変が発生しやすいですが、早期に発見すれば治療が可能です。 そのため大腸カメラ検査では、カメラをつけた細長いチューブ(内視鏡)を肛門から挿入し、大腸の一番奥の盲腸まで到達させます。 盲腸まで達したスコープを引き抜きながら大腸内を映像で確認します。
大腸カメラ検査のメリットは、大腸の状態を直接観察でき、病変の有無や程度を正確に診断ができることです。 また、ポリープやがんをその場で切除したり、組織を採取して病理検査に回したりできます。
ただしリスクとして、内視鏡の挿入や操作による出血や穿孔(大腸壁の穴あき)などの合併症が稀に起こる可能性があります。 しかし、これらの合併症は非常に稀で、発生した場合でも早期発見・早期治療で対応可能です。
大腸カメラの検査後すぐに食べていいものと食べない方がいいもの
大腸カメラ検査は、受ける前に下剤などで大腸を空っぽにすることが必要です。
そのため、検査後は大腸が敏感になっています。 また、麻酔や鎮静剤を使用した場合は、その影響で胃や腸の動きが弱くなっています。
検査後数時間は水分を摂ることを優先し、その後は少量から始めるようにしましょう。
食べていいもの
検査後すぐに食事を摂る場合は、消化しやすくて栄養価の高いものを選ぶことが重要です。以下に、おすすめの食品をいくつか挙げます。
白粥
胃腸に優しくて水分補給にもなる
素うどん
消化しやすくてエネルギー源になる
豆腐
たんぱく質やカルシウムが豊富で低カロリー
ゼリー
水分補給になる上にビタミンやミネラルも含まれる
プリン
卵や牛乳でたんぱく質やカルシウムが摂れる
ヨーグルト
乳酸菌で腸内環境を整える
食べない方がいいもの
検査後すぐに食べるべきでないものは、大腸に負担をかけるものです。
刺激物
唐辛子やカレーなどの香辛料やアルコールは、大腸の粘膜を刺激して炎症や出血を引き起こす可能性があります。 特に、検査後は大腸の粘膜が傷ついている場合があるので、刺激物は控えるべきです。
食物繊維
野菜や果物、海藻などの食物繊維は便通を良くする効果があります。 しかし、検査後は大腸にガスを発生させたり、便を硬くする可能性があります。
脂質
肉や揚げ物などの脂質は、消化に時間がかかり、胃もたれや吐き気を引き起こす可能性があります。 検査後は胃腸の働きが低下している場合があるので、なるべく脂質は控えましょう。
検査翌日以降に食べていいもの
大腸カメラ検査翌日以降は、特に食事の制限はありません。
しかし大腸の粘膜が傷ついている可能性もあるため、しばらくは消化しやすいものがおすすめです。
柔らかくて水分が多くて油分が少ないもの
ご飯やパン、麺類、スープ、野菜や果物(皮や種は除く)、魚や鶏肉など
白粥や素うどん、豆腐、ゼリー、プリン、ヨーグルトなど
魚や鶏肉などの低脂肪の肉類や卵などのたんぱく質源
これらの食べ物は、大腸に負担をかけずに栄養補給ができます。
検査の翌日以降でも控えたほうがいいもの

食物繊維、脂質、刺激物は大腸に負担をかけます。
できれば摂取量を減らすか避けましょう。
刺激物:唐辛子、カレー、コーヒー、紅茶、アルコール、タバコなど
脂質:揚げ物、バター、チーズ、マヨネーズ、高脂肪の肉類など
食物繊維:皮や種が多い果物や野菜、豆類や海藻類、全粒粉製品など
ポリープ切除や組織採取後の食事で気をつけること
ポリープ切除や組織採取があった場合は、大腸や胃の粘膜に傷ができるので、出血や感染のリスクが高まります。
ポリープ切除や組織採取があった場合の食事制限は、1週間ほどです。
消化しやすくて栄養価の高いものを食べて、刺激物やアルコールは絶対に避けましょう。
鉄分やビタミンKなどの血液凝固因子を含む食品は出血防止の効果があります。
レバーや赤身肉、ほうれん草、ブロッコリー、納豆などがおすすめです。
感染予防のために、生野菜や生魚などの生ものは控えましょう。
おすすめの食事メニュー
検査後と翌日以降に食べていいものについて、具体的にあげると以下のようなメニューが考えられます。
検査後当日の夕食:白粥と豆腐の味噌汁、ゼリー
検査後翌日の朝食:バナナとヨーグルト、プリン
検査後翌日の昼食:素うどんと鶏肉の照り焼き、サラダ
検査後翌日の夕食:ご飯と鮭の塩焼き、味噌汁、ほうれん草のおひたし
食事メニューは、検査後に食べていいものをバランスよく摂取できるように考えたものですが、個人の好みや体調に合わせて調整してください。
また、食べるものだけではなく、食事量や時間にも注意が必要です。
検査後は、一度に大量に食べると胃腸に負担をかける可能性があります。
そのため、少量ずつ頻回に食べることがおすすめです。
また、就寝前に食べると消化不良を起こす可能性があります。
そのため、就寝の2〜3時間前までには食事を済ませましょう。
検査後に起こりやすい症状と対処法
検査後には不快な症状が出ることもあります。 これらの症状は、検査後の食事内容にも影響します。
そのため、検査後には自分の体調に注意しながら、適切な対処をしてください。
腹痛
出血
下痢
便秘
これらの症状は一般的には軽度で一時的なものですが、場合によっては重篤な合併症になる可能性もあります。
症状が重くなったり持続したりする場合は、必ず医師に相談してください。
腹痛
検査中に大腸に空気を入れたり、内視鏡を動かしたりすると、大腸が伸びたり圧迫されたりして腹痛が起こることがあります。
腹痛を和らげるためには、ガスを出すように努めたり、散歩などの軽い運動をしたりすることが効果的です。
出血
検査中にポリープを切除したり、組織を採取したりすると、傷口から出血することがあります。
出血を防ぐためには、検査後数日間は血液の凝固を妨げるような薬や食品(ニンニクなど)を避けたり、便通を良くするように水分や食物繊維を摂ったりすることが大切です。
下痢
検査前に下剤や浣腸で大腸をきれいにすることで、大腸内の水分や細菌が減って下痢が起こることがあります。
下痢を改善するためには、水やお茶などの水分補給をしっかり行ったり、消化しやすくて栄養価の高いもの(バナナやヨーグルトなど)を食べたりすることがおすすめです。
便秘
検査前に下剤や浣腸で大腸をきれいにすることで、大腸内の便が少なくなって便秘が起こることがあります。
また、検査中に空気を入れることで、大腸の動きが鈍くなって便秘が起こることもあります。
便秘を解消するためには、水やお茶などの水分補給をしっかり行ったり、適度な運動をしたりすることが効果的です。
大腸カメラ後の食事についてまとめ
大腸カメラ検査の後は、お腹が空っぽで食欲がわきます。 しかし、検査中に大腸に空気を入れたり、ポリープを切除することで、大腸の粘膜が傷ついたり膨らんでます。
そのため、消化しやすくて栄養価の高いものを少量ずつ食べることが大切です。
検査後に腹痛や出血などの異常があれば、早めに医師に相談しましょう。
大腸カメラ検査は、大腸がんや炎症性腸疾患などの診断に欠かせない検査です。 検査前後の食事に注意しながら、定期的に検査を受けることで、大腸の健康を保ちましょう。
【参考サイト】
https://www.jges.net/citizen/faq/large-intestine_02
大腸内視鏡検査ってどんな検査ですか?|日本消化器内視鏡学会